「対」墨と硯、筆と紙

日野子雲(楠雄)氏はご案内の通り、書芸術・文房四寳の研究を長年されている。
もはや今では、学校の授業でも墨を磨ることなどなく、
日常で見かける事も無くなった。
筆記具で文字を書く機会も失われつつある。

 

鈴木貞太郎大拙の人生に大きな影響を与えた
山岡鉄舟を知る資料は、成果に寡黙な人だった故あまり多くない。
弟子の小倉鉄樹による「おれの師匠」がもっともわかりやすい資料だろうか。
揮毫の依頼は断らず一日に五百枚から千枚も書いてしまったらしい。

それで鉄舟専属の若者45人、が朝から晩まで墨を磨っていたとのこと。
墨も紙も消費量が半端じゃない。
それが今ではほとんど使われないものとなってしまった。
(恵林寺さんでも鉄舟の「忍辱富」墨蹟を見ることが出来る)

リード氏は大学で「墨を磨る」を
様々な視点で留学生に教えている。

 

書を書くためだけでなく、墨と硯が発する音色にも注目し、
また心を整える時間として、
「墨を磨る」をわかりやすく伝えている。

 

淡々と墨を磨る時間も良いものだ。

 

伝統を現在進行形で維持するのは難しい。
新たな価値を与えて提案を続けたいと思う。

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